COVID-19がようやく落ち着きを見せ、コロナ以前のようにアーティスト活動ができるようになった2022年ですが、デジタル音楽の配信自体は大きく変わることなく、配信数も増加しており、音楽リスナーも音楽配信サービスを使用することが定着したと言えると思います。2022年は我々がサービスを開始してちょうど10年の節目の年となり、2021年、98億円とあと少しで年間100億円となっていたアーティストへの還元額ですが、2022年度は126億円(前年比128%)となり、年間で100億円を突破することができました。これは国内でのストリーミング再生数と収益シェアにおいてメジャーに次ぐ、第3位となります。[*1]さらに。サービス開始からの累計では約393億円となり、ストリーミング配信からの還元額だけでも、累計で300億円を突破しました。これは、サービス利用者であるインディペンデントアーティスト、レーベルが躍進し、活躍した結果です。
中でも際立った結果を残したのは、1stシングルからTuneCore Japanを利用している、神奈川・茅ヶ崎出身のシンガーソングライター・Tani Yuuki。2021年5月26日に配信リリースしたシングル「W / X / Y」がTikTokなどSNSを中心に驚異的な広がりを見せ、Spotifyの2022年に国内で最も再生された楽曲ランキングのトップに輝きました。年間Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート『Streaming Songs』でも首位を獲得するなど、メジャーアーティストを抑えインディペンデントアーティストとして快挙を成し遂げました。
また、TikTokが発表した2022年の年間Musicチャートの各部門において、YouTube動画でもBGMで圧倒的な利用数を誇る、しゃろう「2:23 AM」やHoneyWorks「可愛くてごめん (feat. かぴ)」などの楽曲が上位にランクインしました。HoneyWorks「可愛くてごめん (feat. かぴ)」に至っては、国内に留まらず、海外でも多数利用、視聴され、国内外でのヒットとなりました。他に海外でも広がりを見せたのが、FPSゲーム「Overwatch 2」内で新ヒーロー「KIRIKO(霧子:キリコ)」のテーマソングに起用され、Spotifyのグローバル、アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、フランス、オーストラリアで同時バイラルチャート1位という国内アーティスト初の偉業を成し遂げたMFSの「BOW」や、TikTokでも話題になったレペゼンフォックスの96thシングル「XOXO (feat. SPRITE)」など、確実に海外で認知される曲も増えてきております。
国内に目を向けると、「ギャル 超かわいい」のフレーズが大流行した福岡のラッパー・Ohayoの楽曲「GAL (feat. Shake Pepper & Yvngboi P) [Prod by LIL G]」や同じくLIL Gがプロデュースしたシャンパンコールソング・Bar Yahmanの「Yahman Hard Bass (feat. Blacky Taiki & 崖の上のオニョ)」、福岡・田川郡添田町から突如登場し、その後フェスでドームのステージにも立った新鋭ヒップホップクルー・O.A.KLAYの「Cinema (feat. Memento Mori & 武蔵)」、ABEMAの恋愛リアリティーショー『彼とオオカミちゃんには騙されない』のBGMに起用され話題となった汐れいらの「センチメンタル・キス (Acoustic ver.)」、心地よい歌声とチルなサウンド&歌詞にTikTokを中心に共感が集まった・KOTAの「DIE (feat. KZHI)」などが、Spotifyバイラルチャートでことごとくトップとなりました。さらに、TikTokで昨年の夏最もバズった曲のひとつとなった多部大「You」、ZOT on the WAVEと『ラップスタア誕生 2021』でその存在感を見せつけたラッパー・Fuji Taitoによる「Crayon」、Billboard JAPAN『Heatseekers Songs』2022年年間チャート1位も獲得した大阪天王寺出身のシンガーソングライター・きゃないのビッグヒット曲「バニラ」など、その他も含め多くのインディペンデントアーティストの楽曲が今年の音楽シーンを彩りました。
海外からのTuneCore Japanアーティストへの還元額は15億円(前年比150%)を超え、その割合は全体の約12%(前年10%)となり、過去最高の海外比率となりました。その成長の要因としては、海外の配信ストア、FLO(韓国)、JOOX(東南アジア)、Tidal(欧米)が追加されたことや、昨年対応したTikTok、Instagram、YouTubeショートなどのショート動画サービスの収益化が順調に伸びていること、そして先ほど紹介した海外でのバイラル楽曲数の増加が主な要因としてあげられます。まだまだ金額規模、比率ともに大きくはありませんが、成長率の増加など、順調に推移しております。
音楽市場全体の動向に目を向けると、引き続き日本国内および世界でともに成長しています。国際レコード産業連盟(IFPI)が発表した2022年世界の音楽市場の売上は262億USドル(前年比109%)と8年連続で成長。音楽配信においては、ダウンロード市場は前年に続き縮小傾向となっていますが、ストリーミング配信が引き続き国内外で伸び続け市場を牽引、一般社団法人日本レコード協会が発表した2022年国内の音楽配信売上の合計は1050億円(前年比117%)[*2]、中でもストリーミングの売上は日本国内で928億円に(前年比125%)[*3]。IFPIによると、世界の音楽ストリーミングサービスへの課金ユーザーは5億,8900万人(+15.8%)に到達[*4]、ストリーミングの売上は世界で175億USドル(前年比111%)[*5]と伸長しています。
このようなマーケットトレンドに対し、前述の通りTuneCore Japanが利用アーティストへ還元した金額は前年比128%となっており、特にストリーミングにおいては前年比131%と、2022年も引き続き市場の成長率よりも高く推移しており、インディペンデントアーティストの活躍を示す数値となっております。
TuneCore Japanは10周年を迎え世界配信が「普通」のこととなった今、Artist Firstは変わらず、新たなスローガン「あなたの音楽でセカイを紡ぐ」として、アーティストの音(作品)を軸に世界中のリスナー、クリエイター同士を紡いでいき、今まで以上に音楽活動を円滑にできるようサービスを成長させていきたいと思います。
― TuneCore Japan チーム一同
*1 Oricon Research Inc 統計情報より
*2 *3 一般社団法人日本レコード協会 統計情報より
*4 *5 IFPI Global Music Report 2023 より