『WONDERVER(ワンダーバー)』“だから僕のことを 早くみつけてほしい” (後編)
2015/09/22
『WONDERVER』左から村上奈津子(Key.)、藤本諒(Gt./Key.)、相澤龍伸(Vo./Key.)
こんにちは。学生アンバサダーです!今週は前回に引き続き、シンセポップ・バンド『WONDERVER』さんへのインタビュー後編です。
ところで、タイトルが気になりませんか?「だから僕のことを、早くみつけてほしい」――実は、『A L O N E』という曲の歌詞の一部なんです。曲中では≪だから僕のことを/誰か僕のことを/早くみつけてほしい≫と何度も繰り返される、なにか強い想いをうったえる歌詞。
今回はそんな詞作りにも焦点をあてつつ、前回に引き続き相澤さんのルーツが少なからず影響している曲作りのお話やアートワーク製作時のエピソード、今後の展望までお伺いしました。
WONDERVER「A L O N E」
*インタビュアー:ハヤマ・コイズミ
*文:ハヤマ
*構成:コイズミ
*写真:瀬能啓太
今のところ全部の曲が、“孤独”にまつわる歌詞で。
―――(前回はこちら) 曲調がガラリと変わっていますね。
相澤:「G H O S T」はNew OrderやDepeche Modeとか意識していますね。「G H O S T」を作った当時の僕はこういう音がやりたかったんだと思います。
WONDERVER「G H O S T」
New Order 「Bizarre Love Triangle」
―――やはりご自分の好きな音楽が反映されているんですね。
相澤:そうですね。あとは後期のGangwayとか。
―――Gangway、サマソニのアーティストページでもリスペクトアーティストとして紹介されていたのを拝見しました。
「G H O S T」で曲調的にはガラッと変わった後、また「M E L L O W」で「A L O N E」のようなポップ調の曲に戻っていますが、曲作りはいかがでしたか?
相澤:楽曲制作において常にやりたいことが多岐にわたっているので、「M E L L O W」はあくまでもそのひとつでした。自分としても、自分がどういう曲を作ることができて、どういう曲を作ることに向いているかがわからなかったので、まずはいろんな曲を作ってみようと思っていた時にできました。ポップに戻ったというより、実験するような感覚で作りましたね。今はアルバムに向けて、それぞれの曲がちぐはぐにはならないように使う音を統一して、いろんなタイプのものを作っています。
―――今、SoundCloudに上がっているのが「A L O N E」、「G H O S T」、「M E L L O W」、「H E A R T」の4曲ですが、タイトルや歌詞に人の感情のような部分が見えてきます。4曲の詞作りで一貫していることってありますか?
相澤:そうですね、活動休止してから再開するまでに2年くらいあったのですが、その間ずっと1人で曲を書いたり歌詞を書いたりしていて、やっぱりその……人生どん底みたいな感じだったので、明るい歌詞が全然書けないんですよ(笑)。
だったらもう、すごい陰鬱な曲ばっかりってコンセプトを決めて10曲~15曲くらい作ってアルバムにすれば、まとまるんじゃないかなと思っていて。あ、でも、もともと歌詞はああいう感じかも。
———やはり、歌詞はご自身の思いが。
相澤:「M E L L O W」とかはフィクションの物語がある感じで、その物語は僕自身に起きていないことだけど、主人公の彼と思っていることは同じというか……。自分も思っていることだけど、置かれている状況は違っていて。でもみんな思っていることは一緒、みたいな。どの曲も一貫して。たとえば「A L O N E」で、≪誰か僕をみつけてほしい≫みたいな歌詞があるんですけど、「M E L L O W」や「G H O S T」の主人公も、根幹で思っていることはたぶんみんな一緒なんですよね。みんな同じ気持ちなんです。
———それは相澤さん自分自身なんでしょうか。
相澤:なのかな。
曲それぞれの状況は全然違うんですけど、内心思ってる気持ちはみんな同じというか。全部が“孤独”の歌なんですよね。今、SoundCloudに上がっている4曲も、まだ上がっていない曲も今のところ全部“孤独”にまつわる歌詞で。
アルバムを作るんだったら、なにかそういうコンセプトでまとめたいっていう考えがあります。
―――そうだったんですね。「A L O N E」の歌詞を聴いて、サビの≪だから僕のことを/誰か僕のことを/早くみつけてほしい≫というフレーズがすごく印象的で、それが活動再開までの2年間を表しているんじゃないかなと勝手に思っていました。
相澤:そうですね。端から見たときに、ストーリーとしてわかりやすくしたいとは思っていました。
WONDERVER「M E L L O W」
―――ちなみに、いまSoundCloudで上がっている4曲はすべてTuneCore Japanから配信していただいていますね。始めどこで知ったのでしょう?
相澤:配信周りも僕がやっていて、iTunesで配信する際にどこを使うと一番効率がいいのかなと調べていて知りました。結果、TuneCore Japan一択だなと。いつも(配信されるまでが)早くて、毎回びっくりしています。
―――実際に使われてみて、いかがでしょうか?
相澤:非の打ち所がないですね!売り上げがグラフで見られるので、毎日見ています。iTunesだと曲が売れた都道府県まで分かるんですよ。素晴らしい!
―――ありがとうございます!(WONDERVERのTuneCore Japanアーティストページを見ながら)4曲それぞれにボタニカル柄のアートワークが使われていますが、何かコンセプトがあるのでしょうか?
WONDERVER - H E A R T
single 06 Jun 2015
Now On Sale!
相澤:そうですね、Washed Out(ウォッシュト・アウト、アメリカの男性ミュージシャン、アーネスト・グリーンによる音楽プロジェクト)やMaroon5も同じことをやっていて、ここ何年かは特にボタニカル柄が流行っていたんですね。それでアートワークで明確に表現したいこともまだ特になかったので、僕たちも(アートワークは)花でいこうかって話をしてるときに、彼女(村上さん)がもうあのアートワークを描いてくれていたんですよ。
アートワークの1/4ぐらいを村上がアナログで描いて、デザイナーがそれをうまく引き延ばしてテキスタイルにして、曲ごとに加工しているんです。元のアートワーク自体は一緒で、特殊効果を毎回変えている感じですね。
村上奈津子(Key.)
僕は集中して曲だけ作っていたいので、メジャーでしかやりたくないですね。それが今の目標です。
―――話は変わりますが、7月4日に下北沢THREEで行われたライブ(FunLandRyCreation&mao presents“PATH”)を拝見させていただいたのですが、ライブではメンバーの皆さん全員が1人で2つ以上の楽器をされていて驚きました!毎回ライブではこの体制なんですか?
相澤:毎回そういった体制ですね。
―――すごいですね!ライブではシンセを5台も使われていましたが、WONDERVERのシンセに対するこだわりについて教えてください。
相澤:80年代のインディー・ポップとかエレクトロ・ポップって電子楽器がすごい使われていた時代で、有名なプロデューサーがシンセやリズムマシンをいっぱい使っていたんですよ。The Human League(ヒューマン・リーグ、イギリスのバンド)とか、ゴリゴリのシンセ・ポップをやっている人たちがメインストリームで売れていた時代だったんです。
例えばジャネット・ジャクソンとかR&Bやポップ・ミュージックをやっているミュージシャンからもその畑のプロデューサーに、依頼がくるんですね。その人がジャネット・ジャクソンをプロデュースすると、自然と曲がエレ・ポップになっちゃってるような時代だったんです。
僕はその、おいしいところ寄せ集めたみたいな時代の音楽が突出して好きで。でも僕らが使うシンセの音は、その時代のものとも今のEDMとかともちょっと違う。なんて言うんだろう……。RolandのJuno(シンセサイザーの機種)の音とか、EDMとかダブステップと比べると全然丸いアナログな感じの音が好きなんですけど。80年代のってもっと太くて、モノラルっぽくて……。Metronomy(メトロノミー、イギリスのバンド)とか、CHVRCHES(チャーチズ、イギリスのバンド)とか、今でもメインにJunoを使う人たちも多いですよね。
でも、「EDMやってみたい!」って思い立って深夜に勢いで作ったんですけど、朝起きてその曲を聴いたら、すぐボツにしたこともありました(笑)。思わず「何コレ?」って笑っちゃいましたね(笑)。
CHVRCHES「Leave A Trace」
―――流行りも意識はされているんですね。
相澤:しています。今年の『SONICMANIA』も超楽しかったし、流行っているものは大体好きなんです。アンダーグラウンド志向みたいなものはないです。J-POPも大好きだし……開(ひら)けたバンドでありたいと思っていますね。そうなるとやっぱりどうしても流行に乗っちゃう感じにはなるのかな。でも、やりたいことをねじ曲げてまで流行に乗らなくちゃということはないですね。
相澤龍伸(Vo./Key.)
―――WONDERVERさんといえば今年の『SUMMER SONIC 2015』にご出演なさいましたが、当日はいかがでしたか?
相澤:楽しかったです。
―――「出れんの!?サマソニ!?」への応募のきっかけは何だったんでしょう?
相澤:2012年に「出れんの!?サマソニ!?」の最優秀賞であるクリマン賞をとった先輩がいるんです。その先輩と対バンしたときに、「WONDERVERは絶対(出れサマに)出られるから応募した方が良いよ!」と言っていただいたことがきっかけで応募しました。
―――前日の『SONICMANIA』では、ラジオ出演もされていましたよね。その点サマソニに関して、一気に大勢の人の目や耳に届いたことになったかと思うのですが、どういったご心境でしたか?
相澤:いや、まだまだこれからというか。もの足りない、まだ何もできていないのと同じ感じでした。フェスに出ることができたからどうなる、っていうわけでもないんですよね。(選考に)落ちなくてほっとしたくらいで……。むしろここからであって、「まだまだ足りない」と感じました。
今って波及させる力とかプロデュース能力とかもすべてアーティストに求められる傾向があって、インディーとメジャーの垣根なんて無いって言うじゃないですか。でも、僕はそんなこと絶対ないと思っているんです。1人で全部のことなんてできないし、僕は集中して曲だけ作っていたいので、メジャーでしかやりたくないですね。それが今の目標です。
―――最後に今後の展望をお聞かせください!
藤本:プレイヤーとして目を引くようなパフォーマンスだったり、存在感を出していきたいです。
村上:みんなが楽しめるようなライブにします!
相澤:なるべく自分たちの力で盛り上げるライブバンドではありたいですね。ライブも結構、音源そのままでやっています。それは打ち込みを使うバンドとしての責任だと思っているので……。常に楽しいライブをしたいです。そして早く主催側から声がかかるバンドになりたいですよね。サマソニもベイキャンプも、こちらからの応募というかたちでの参加だったので。
まずはバンドが知られていくことを目指して、日々いろんなことを模索していきます。
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