新しいかたちの音楽活動を模索する『月のうなぎ』(後編)
2015/10/22
こんにちは!学生アンバサダーです!
今週も前回に引き続き、『月のうなぎ』さんへのインタビューです。
前編では、「月のうなぎ」田中さんの持つポップ観、音楽のルーツ、「死ぬほどポップ」の楽曲についてのお話を聞かせていただきました。
後編では、配信サービスを使った音楽活動について、「月のうなぎ」のこれからの展望について、語っていただきました!
インタビュー前編は
こちら
永く音楽と付き合いたいから、深く入れ込みすぎるのはちょっと怖い
――インディーズでも、メジャーアーティストと大差無くバンド活動をする人も少なくありません。どんどんネットで音源を販売できる方法が増えて、月のうなぎさんのようなバンドにとっては、今の時代はやりやすい環境ですよね。
そうですね。居たいポジションに居られています。
――従来のバンドのスタイルは、曲を作ったら、ライブをして、CDを売って、だんだんと人気を得ていくパターンが多かったと思います。最近はネットに音源を上げるとしたら、YouTube、SoundCloudなどに数曲ピックアップして、全曲聞きたかったら音源買ってね、という形が主流ですよね。でも、月のうなぎさんは曲を作ってまず最初に配信販売をしたというのが新しいスタイルだなと思いました。どうしてこの様な経緯になったのですか?
ここ、まさにしゃべりたいところです!
バンドをやっていた時、ライブハウスのノルマに追われて、毎回毎回ライブハウスのおっちゃんに怒られてたんですよ。(笑)
――チケットノルマとか厳しいですよね。
そう。しかも、ライブのどこが良くないとか言われて、我々は我々なりの考えがあるのに、色々言われるのが嫌だった。
後、やはりライブでファンを作って、CD販売っていう流れだと、金も時間もすごい使っていたと思うんです。今、配信販売にしたことで、無駄なお金を使うことがないんです。
本当にちょうど良いタイミングでAppleMusicとか定額制音楽サービスが始まったので、ほぼ無料で試聴できる環境ができて、そういったサービスを通して、僕らの音楽を気に入ってくれた人はiTunesストアとかで買ってくれているようなんですね。
配信販売でファンを作っておけば、一定のファンがいることがわかった状態でライブができるじゃないですか。
――ファンがいるかいないかは、販売数ではっきりとわかりますもんね。
だからライブをやるにしても安心だし。
多分ライブで知らないバンドの知らない曲を聴いて「感動した!」っていう体験は稀にしか起こらないと思うんです。それならば、最初に曲を提供しておいて、ファンを獲得してからライブをするというやり方も今ならアリかなと思います。
あとローカルに縛られることもない。普通は東京にいないと、ファンはたくさん集めきれないじゃないですか。でもインターネットで先にファンを作る方法なら、場所に縛られないので、ローコストでより多くの人に聴いてもらえる。
――すごく効率が良い気がします。ライブに縛られずに、配信販売で自分の音楽を聞いてもらえることは、田中さんのやりたい音楽活動の形に合致しているのでしょうか?
数年前から無料で配信してライブで稼ぐっていうフリーミアム的なモデルが流行ってはいますが、あれはファン数の多いバンドしか実現できませんし、ライブには体力も時間も要るので、Apple Music などのストリーミングで聴いてもらって、気に入ったら iTunes Store で買ってもらうっていうシェアウェア的なモデルもあっていいだろうと。何の特典も付かないし音質も変わらないんですが、買ってくれるファンもいるんです。とってもありがたい。
ちなみにライブ自体が嫌いなわけじゃないです。それこそおっしゃるように「縛られたくない」だけで。永く音楽と付き合いたいから、深く入れ込みすぎるのはちょっと怖いんです。
本質的な部分で音楽が売れていくようになるならそんなに悪くないのかな
――なるほど。このような新しい方法の背景に、CDパッケージの衰退、DLストリーミング配信の拡大は関係していますか?
CD世代なので、CDが衰退していくのを見るのはさみしい面もあるんですけど、実際中身データなので結局は一緒だろ、と思います。
パッケージの無駄も省けるし、在庫を抱えることもない。むしろ本質的な部分で音楽が売れていくようになるならそんなに悪くないのかな、と思っています。
今のところ音質が限られているところもありますけど、これからどんどん発達していくんだろうと思えばそんなに大したことじゃないのかなと思いますね。
――物質よりも本質を重視されているのですね。
うん。結局、CDを作ったからと言ってCDで聴いてくれる人があまりいない現状。買ったとしてもすぐパソコンに取り込むし、最もYouTube とかで聴かれてしまうんだったら、最初からストリーミングで聴いてもらう形でもいいのかなと思います。稼ぎたい人はグッズとか売ればいいし(笑)。
――そうですね、グッズは高いです(笑)。もうメジャーアーティストでもCD販売よりライブやグッズで稼ぐのが主流ですよね。月のうなぎさんは、これからどんどんインターネットを活用して活動していくという思いなのでしょうか?
古いやり方は否定しないのですが、新しいやり方を知らないバンドマンも結構多いので、新しいやり方もあるんだぞっていうことを提唱してって、インディーバンドがもっと賑わえばいいなと思います。
――もっとたくさんの人に音楽を聴いてもらいやすくなるようなやり方をつくっていくということですね。音楽活動のやり方に関しては、目指しているようなアーティスト等いらっしゃいますか?
無いですね。このやり方でしかできないので、このやり方でやっているだけです。
真似てもしょうがないので、自分たちのやれることをやっていきたいですね。そういう脈略のなさ、こだわりの無さみたいなものもポップ性かな、と思います。
特に、ロックバンドでできなかったことを「月のうなぎ」でやっていきたいので、結構めちゃくちゃになると思います。(笑)
色んな世界観を吸収したい
――ところで、ジャケット絵が風見2さん作なんですよね。とてもインパクトがありました。
そうなんですよ!とても面白い方でした。
風見2さんの漫画を読む限り、なんとなく近いものがあるんじゃないかと感じていたので、絶対ジャケット絵を描いてもらいたいな!と思って、ちょっと畏れ多かったんですけど、お願いしたんです。でも一回断られちゃって…。
残念だなぁと思いつつ、潔く諦めて「風見2さんの漫画のこういうところが好きで・・・」みたいなビジネス抜きのメッセージを送ったら、まずお友達から、というふうになり(笑)。
――再アタックのチャンスですね!(笑)
そうしたら、突然絵が送られてきて、「曲を聴いて描いただけですけど、こんなんでよかったら使っていいですよ」と言ってくださって、わお!みたいな。
――夢のようですね。
うん。何の注文もしていないのに月のうなぎと超マッチした絵だったんです。
なんとなく「この人なら解ってくれそう」って思ってましたが、的中しました。お会いしたときに色々聞いたら、案の定聴いてきた音楽とか被ってたりして、ナルホド!って。(笑)
――今後、月のうなぎで挑戦していきたいことなどありますか?
あんまり形態にこだわりたくないので、ボーカルも固定しないで、色んな世界観を吸収したいなと思っています。機会があればライブもしたいですね。
バンドが影響を受ける音楽はコロコロ変わると思うんです。自分でこうしたいというイメージを強く持つのは、アルバム単位でやればいいこと。オリジナリティは勝手に出ちゃうから、アーティストとしては、吸収したいものをどんどん吸収して、作風とか難しいこと考えないでやっていきたいですね。
――インディーバンドで、何も制約がない場合、いくらでもサボれるし、向上心が無くても誰も何も言わないですよね。でも田中さんがストイックに向上心を持てているワケ、つまり音楽活動の原動力はどのようなものでしょうか?
うーん。「好きだから」としか言いようがないですね。音楽をつかってビッグになりたいとか何かを主張したいとか今はほとんどありませんし。
一生まったりと音楽を続けられれば幸せなのかなって思います。
――ちなみに今後、リリースの予定などありますか?
曲はしこしこ作っていますけど、それをどうパッケージ化するかはまだ決まってないですね。
――最後に、TuneCoreの使い心地について、如何でしたでしょうか。
すごくシンプルで、好きです。何より対応が速いところがいいですね。個人的に地元でやっているバンドの曲もTuneCoreを使って配信したいなと思っています。
――ありがとうございます!そちらのバンドの方の配信もお待ちしています!本日は、お忙しい中インタビューにご協力いただき誠にありがとうございました!月のうなぎによる新しい音楽活動のかたちをこれからも楽しみに、追っていきたいと思います!!
月のうなぎ
田中シュウタロウ@那覇とケイコ@東京によるウェブバンド“月のうなぎ”
Written by TuneCore Japan 学生アンバサダー インタビュー / 文:エンドウ
TuneCore Japan公認の学生プロジェクト WebSite | Facebook
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